第139章 もう一度勝負する

杉浦杏奈は8時きっかりに、鈴木真彦のオフィスへ着いた。

彼女の記憶にある鈴木真彦は、撮影現場では異様なまでに要求が厳しい男だった。画角の中にほんのわずかな瑕疵があるだけでも許さない。

なのに、そのオフィスときたら――まるでゴミ溜めだ。

もっとも不思議なのは、鈴木真彦が何を探すにしても、このガラクタの山の中から目当ての物をきっちり見つけ出せることだった。

実際、彼はいま台本の原稿を引っ張り出してきた。

「これは学生が書いたやつでね。当時、買い取りにしたんだ。筋は悪くないと思ったけど、少し青臭くてさ。こっちで手を入れて台本に直した。君はどう思う?」

「たしかに、話の運びは少し幼いです...

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